3・11後の企業行動に関する寄稿文



第2回  「分水嶺に立たされた日本」

インテグレックス取締役
国連環境計画・金融イニシアテイブ
特別顧問  末吉  竹二郎

 東日本大震災は日本の良さも悪さも容赦なく曝け出した。世界の流れに乗り遅れた日本の無残な姿も曝け出した。その日本がこの先どう転んでいくのか。一歩誤ると日本は奈落の底に落ちてゆく。一方、知恵ある選択をすれば日はまた昇る。3.11の出来事は日本という国を分水嶺に立たしたのである。日本がその歴史的選択を誤らないためには日本企業の行動はどうあるべきか。

 思い返してもみよう、3・11以前の日本を。敗戦の灰塵から奇跡的発展を成し遂げた日本であったが、いつしか、「成長神話」に蝕まれ、問題の解決ができない国になってしまった。いや、解決どころか、問題の所在さえ掴めない、いや、掴もうとしない無力感と新たな動きを封じる閉塞感に苛まれていた。

 一方、世界はと言えば、地球温暖化が一層その深刻さを増し、生物多様性は劣化破壊され続け、自然資源や水の枯渇が進み、一方では、貧富の格差は拡大するばかり。そんな危機的状況に直面し、さすがの世界も動き出していた。経済の面から言えば、世に言う「環境革命」が始まり、国や都市、企業や消費者などがグリーン経済へのギアチェンジを始めていた。無論、その流れは3・11以降も強まりこそすれ弱まることはない。

 もう一つ、重要な変化がある。それはこの大震災が齎した日本人の価値観の揺らぎである。多くの日本人が「経済成長のために何か大切なものを壊してしまったのでは」、「早く豊かになる陰で自然を破壊し破壊し続けてきたのでは」と悔いを感じ始めていた。その悔いはやがて多くの市民や若者を中心にその揺らぎの先に21世紀に相応しい「新たな価値観」を見出す模索へと続くのである。

 これが3・11後の日本の置かれた情勢である。とすれば、これからの日本を考える時「世界の中の日本」という視点が一層重要になってくる。なぜならば、復興と新生日本の創設という作業が「日本の日本による日本のため」に終わってしまったのでは世界の問題解決は覚束ないし、第一、復興そのものが21世紀の日本にとって意味あるものになるとは思えないからである。

 日本が地球社会の一員として世界の問題解決に積極的に責任を果たす中で自らの再生の道を見出していくのか。それとも、世界に背を向けて孤立していくのか。岐路に立たされた日本。その日本をどこへ導いていこうとするのか。3・11以降の日本企業に課せられた責任は重い。

掲載日:2011年8月30日




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