3・11後の企業行動に関する寄稿文



第3回  「思考停止型復興支援からの脱却を目指して」

新日本有限責任監査法人  パートナー
株式会社新日本サステナビリティ研究所  常務取締役
公認会計士
大久保  和孝

 東日本震災により私たちを取り巻く経営環境は大きく変化した。なかでも、震災を契機に、CSR活動を見直し、本格的な取り組みをはじめた企業も少なくない。かつてない大規模かつ長期に及ぶ復興支援と向き合うことで、これまでCSRを単なる社会貢献活動と位置付け、資金提供だけするという“思考停止型”からの脱却をはかり、中長期に渡って継続的に支援していく枠組み作りへと見直しが始まった。
 今回のような大規模災害の復興支援にあたってのカギは、企業やNPOが単独で行動するのではなくあらゆるステークホルダーとの連携を図ることと、被災地のニーズを的確に把握できる仕組み作りだ。被災地のニーズは、刻一刻と変化することから、“点”ではなく“面”として捉える工夫が必要だ。特定のNPOだけに資金供給するのではなく、資金の出し手側自らが的確にニーズを把握する努力が求められる。同時に、行政の動向も察知し、行政では十分な対応ができていないニーズに絞る。行政と重複してもあまり意味がない。そのうえで、企業理念やCSR方針を基本に、何故自社がそのニーズへの支援を行うのかを明確にしたストーリー作り(コト作り)が求められる。明確な理由のない寄付では一時的なものになりかねない。取り組みがストーリーとして明確になれば、従業員の納得感も得ることができ、持続的な取り組みに繋がる。復興支援を自社の経営理念の実践の場と位置づけることだ。そして、被災地のニーズに対応する手段の一つとしてNPOと連携をはかる。「どのNPOに資金を出すのか」や「資金を出してNPOにお任せ」ではなく、何の問題にどのNPOと手を組むのかを考え、どうすれば被災地のニーズの課題を解決できるのかを“とも”に考えることが真のパートナーシップ(協働)である。そして、重要なことは、被災地の課題解決には、イノベーション的発想が求められることだ。従来からの考え方ではなく、発想を転換するためにも、常に新しい視点での新しい発想で課題解決しなければならないことだ。
 こうした震災復興支援を通じて得られた経験は、企業のCSR活動への取組みを企業価値に繋げるとともに、今後のインドや中東などの海外展開においても必ず活かされる。

掲載日:2011年9月7日




免責について     

 本ウェブサイトによって提供する情報は、当該企業各社から入手した情報を原文のまま掲載しており、情報の真偽や正確性、完全性などを保証するものではありません。また、本ウェブサイトによって提供する情報は、情報提供のみを目的としており、証券投資等の勧誘を意図するものではなく、直接または間接的に投資を促したり、売買を促すものでもありません。本ウェブサイト上の情報に起因して利用者および第三者に損害が発生したとしても、当社は一切の責任を負いません。