「3.11後の企業行動」に関する寄稿文

 

第10回  「ERM(リスク管理経営)の重要性の再認識を!」

(株)ENアソシエイツ  代表取締役
早稲田大学大学院客員教授
長友  英資
専門  コーポレートガバナンス・内部統制システム

   東日本大震災の影響とその後の状況が、我が国経済に与えた甚大性に関しては今更述べる必要もあるまい。但し、今回の諸事実の発生が、企業経営上において、特にリスク管理体制の再構築の必要性を強く感じさせた事は今までに無かった事である。災害対策等も然ることながら、例えばサプライチェーンの崩壊に関しても、リーマン・ショックの際の経験が全く生かされていなかった事実に驚愕した向きも多いと思う。如何なるビジネスにもリスクは存在し、その半面でリスク・テイク無しにリターンは無い。経営者であれば、損失が顕在化する前に自社のリスクの状況を適時・適切に把握し、可能ならば損失の原因となり得る事象への対策を講じる努力をすべきであり、この事こそが内部統制体制の整備=リスク管理経営の徹底に向けての基本命題である。具体的には、自社内全体を検証し、統一的なフレームワークでリスクを計測、管理し、結果的に「企業価値の向上」に寄与させる事であり、重要な点は「変化への対応力」の充実と言える。社会の進化や変化の中で、企業が如何なる形で生存を継続し得るかは大きなテーマであり、進化に対応する能力=将来に向けて自らの組織が変化し、適応する能力が必要となる。それを如何に検証・把握するかがポイントであり、そこに企業サステナビリティ確保の基本命題も存在する。サステナビリティ確保の為には「新しい知識の創造」が重要であり、これこそが「価値の源泉」となり得る。相対的に過剰感のある資本が、この新知識を求めて如何にレバレッジを高めるかが21世紀の資本主義の特徴とも言えよう。将来=不確実性を如何に填補するかがポイントであり、企業の価値創造に影響を与える不確実性を可能な限り制御し、将来の未実現キャッシュフロー=企業価値を最大化する経営を目指すべきである。今正に、新しい、そして大きな危機が欧州を中心に生じようとしている。経営者としては、マクロ経済の先行きに云々する暇は無い。今こそキャッシュフローを可能な限り潤沢に確保し、来るべき危機に備える必要がある。可能であればコミットメント・ラインを実行に移してでもフローの向上を図るべきである。超円高の到来も、逆手に取れば安い価格でM&Aが更に可能となる時期が到来したと考えれば良い。ピンチはチャンスに繋がる。守る空洞化だけで無く、攻める空洞化の準備も積極的に準備すべき。先行きの不透明感は払拭不可能でも、自社を守る準備=ERMを怠らない事だ。


掲載日:2011年10月12日





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