「3.11後の企業行動」に関する寄稿文



第27回  「被災地で障害者の雇用を!」

NPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)理事長
鈴木  りえこ

  ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)は、「貧困撲滅」を第一目標に掲げる国連ミレニアム開発目標の達成を目指して設立されたモデル村、ミレニアム・ビレッジ(サハラ砂漠以南のアフリカ10ヵ国80村)を通じて、約50万人の農民の自立を支援している。このプロジェクトは、J・サックス教授(コロンビア大学地球研究所長、国連事務総長特別顧問)らが設立し、一日1.25ドル未満で暮らす農民が、2015年には自立した環境にたどり着けるよう、一流の技術と頭脳を投入する先端プロジェクトである。
  MPJは、ウガンダのミレニアム・ビレッジで、女の子が中学校・高校へ通学するための奨学金、小学校建設、試験的な点滴灌漑事業などを進めるとともに、日本の若者たちの視野を広げるため彼らのアフリカ諸国視察を促し、国内では研究会開催、アフリカからの留学生との交流会などを行っている。また、3・11以降は東日本大震災の被災地支援も活動の一つとなった。
  2011年2月、私は岩手県遠野市の酪農家、多田克彦氏とともにマリのミレニアム・ビレッジを訪れ、電気も水もない僻地で効果的酪農を行うためのレポートを作成した。帰国後3・11が起こり、多田氏はマリでの視察を活かして酪農を継続し、釜石市で物資の届かない場所を中心に農作物を配り、風呂にも入れず疲れた被災者の方々を集めて,バスで温泉に運ぶなどの活動を行った。MPJはこの活動への支援のほか、昨年末には陸前高田市における年末の花火打ち上げや元旦の小マラソン大会開催に関わり、来春は都内においてチャリティ・コンサートなどを企画している。
  さて、一年半の活動を経て多田氏は、企業に対し「被災地で忘れられ一番困っている障害者の方々への雇用を促進することが最も必要である」と指摘する。現在、釜石市の中心部は驚くほどきれいに瓦礫が片づけられ、外見からは「復興が進んでいない」という批判が信じられないほどである。一方、地元では「必死で工場を再建しても時給650円程度では生活保護給付金の方が高く、従業員が集まらない」という苦情も聞こえる。アフリカでも「援助漬けになり働かなくなる」という負の影響を聞くことが多々ある。実はミレニアム・ビレッジ・プロジェクトはそれを打破する目的もある。多田氏はいま、障害者20名を雇ってパン作りなどの事業を始めた。働く場を得て、健康な人と同様の賃金で働き始め、彼らの表情が生き生きとしてきた。全国から視察者が集まっているという。


著者略歴
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院(国際関係論)卒。電通総研勤務を経て、2004年~2006年、夫の国連次席大使赴任に伴いニューヨークに滞在。帰国後、ミレニアム・プロミス・ジャパンを設立。



ミレニアム・プロミス・ジャパン Tel:03-5842-2801




掲載日:2012年11月20日



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