「3.11後の企業行動」に関する寄稿文



第31回  「10年後に成果が出る支援へ、挑戦を」

公益社団法人 誕生学協会 代表理事
大葉  ナナコ
専門 次世代育成・ライフスキル教育開発

   東日本大震災が発生したのは、誕生学協会が公益法人認定を受けた10日後だった。“生まれてきた力・産みゆく力・生きる力、つなぎたい”と次世代育成支援を展開してきたが、志が試されるかのように、気仙沼の子どもたち支援が始まった。
   復興には10年はかかるという。今、生まれてくる胎児が小学4年生になるまで。小学4年生が20歳になるまでの年月。復興地の子どもたちが、日本中・世界中の同世代とつながるためにと“未来の大人育てプロジェクト”を始めた。「大好きだったふるさと、未来は、どうなっていると嬉しいですか?」と絵を募集、1081枚もの想いが集まった。各自の郷土愛あふれる絵を、オリジナル切手シートにして寄付金で印刷。全員に贈った。その切手で手紙が届いた。10枚1セットでチャリティ絵ハガキセットも作り、収益を気仙沼市の子ども支援官民4団体に寄付を続けている。支援先の1つ、健康増進センター母子保健からは「仮設住宅への母子相談の際、上の子たちが遊ぶ積み木、絵本、おもちゃが欲しい」。現金を受け取れない団体に必要な現物をヒアリングし、購入して贈る。年に2回、定期的に現地のニーズを聴き、届けるべき支援に耳を澄ます。
   NHK WorldのラジオJAPANは、この未来画とメッセージを17ヶ国語に翻訳し、世界に届けた。番組WEBにはすべての絵が掲載され、世界中から励ましの手紙が子どもたちに届いた。震災二年目の今年も、復興地の子どもたちの声を世界中に届けた。あたたかい想いは、世界中でつながりあっている。そして想いを形にする次の段階が、すでに来ている。
   震災当時、中学3年だった少年は「今が、去年よりずっと辛い」。この春から高校3年となるが、家族5人で四畳半二間の仮設住宅生活を約500日送っている。非日常の継続で、将来の見通しは立たない。こんな十代の具体的な未来支援策に、企業の課題解決力を投資してもらえないものかと、切実に願う。コンクリートや建造物は、復興進度の目安になりやすい。全国的には景気回復で大量消費時代が再来しそうだが、過酷な忍耐を強いられている10代の存在感は風化しやすい。復興が落ち着く頃に大人となる“未来の大人”の声を聴く企業にこそ、増えてほしい。試算不可能な無形の支援は、計画されにくいが、前例のない課題解決の策定と事業化は、本来はもっとも企業の得意とするところだ。10年後の、未来の大人の笑顔を創造する企業とともに、“未来のためにつながる力”をつなげ続けたい。
   小さな長い支援を、続けない理由は、見当たらない。10年後に成果が出る「支援への挑戦」を続けよう。


著者略歴

多くの世代が妊娠出産の基礎知識やいのちの大切さを学べるようにと、1997年バースコーディネーター業を創職。2003年バースセンス研究所、2005年誕生学協会を設立。2010年、開発した「誕生学」®が現代用語の基礎知識にも掲載。次世代育成支援としてのいのちの授業やセルフケアプログラムを、子どもから大人まで対象世代別に開発。講師育成事業や官民協働で、各種プロジェクトを推進中。


筆者への問い合わせ先

公益社団法人 誕生学協会  
http://www.tanjo.org/
東日本大震災 母子・子ども支援事業 ~気仙沼プロジェクト~  
http://www.tanjo.org/2011/12/2297/




掲載日:2013年4月3日



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