「3.11後の企業行動」に関する寄稿文




第32回  「人が大切にされる、社会のあり方を求めて」

特定非営利活動法人  日本NPOセンター  常務理事・事務局長
田尻  佳史

   東日本大震災から2年が経過し、地域差こそあれ本格的な復興に向けた取り組みが進みつつある。

   しかし、緊急支援から復興支援へとフェーズが変化する中、被災地の人々のニーズも多様化、複雑化し始め、また一方で、時間の経過とともに人々の興味や関心が薄れ、風化が始まりつつあるのも現状である。今回の災害は、被災エリアや規模、地震・津波・原発事故の複合被災など、どれをとっても近年の災害とは比較できず、今までの経験値だけで対応できるものではない。

   また、政権の混乱をはじめ、地方分権など社会構造の変化が進む中で発災した今回の大規模災害は、被災地域だけで解決する問題ではなく、日本全体の問題としてのかかわりが必要とされる。それゆえに、国や地方公共団体による“公助”や被災地の人々の“自助”だけではなく、企業やNPOなどの民間による“共助”による支援の必要性がより一層高まっている。

   改めてこの2年間を振り返ると、救援・復興のプロセスにおいて、営利・非営利の区別なく民間組織の果たしてきた役割は大きい。特に地域基盤の核である行政機能の停滞と低下により、不自由かつ困難な生活を余儀なくされた被災地の人々に寄り添った多様な支援は、今後の復興のプロセスにおいても継続が期待されている。

   この間の緊急支援・復興支援には多様な民間の取り組みが実施されてきた。中でも企業によるヒト、モノ、カネの支援は過去の災害支援と比較にならないぐらい拡大し、また支援の内容も多様化した。それらひとつひとつを取り上げる暇はないが、企業の大切な資源である社員を、ボランティアとして参加させる機会を多様に提供したことは、特筆すべきであろう。

   社員の復興支援活動への参加の機会としては、自らの休暇を利用する、社内のボランティア休暇制度などを活用する、企業のCSRのプログラムに参加する、企業の社員研修の一環として実施する、社員の専門性を活かした人材を派遣するなど、多数の企業が多様な参加の機会を提供した。

   このような企業の取り組みは、企業独自で実施されたものもあるが、NPOと連携して実施されたプログラムも少なくない。社員という人を介して、企業と被災地(社会)がつながった今回の取り組みは、今後のCSR活動推進のあり方の大きなヒントになるであろう。

   3年目を迎えた今、改めて被災地を見つめ、民間の組織として企業やNPOがそれぞれの特性を活かし、また連携して被災地支援を続けていく必要を強く感じている。


著者略歴

   4年間の海外でのボランティア活動を経て、大阪ボランティア協会の職員となり、主に企業の社会貢献活動推進を担当。阪神・淡路大震災では「阪神・淡路大震災 被災地の人々を応援する市民の会」の現地責任者として従事。96年11月より日本NPOセンターに出向(03年転籍)。市民活動の基盤整備を推進すべく、NPOと他セクターとの連携のためのコーディネーションを行い、各種プログラムの企画立案を手掛けている。
   東日本大震災においては、現地で活動するNPOの支援活動を多数進めるほか、「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議」の幹事団体、東日本大震災支援全国ネットワーク(通称:JCN)の代表世話人なども務める。


筆者への問い合わせ先

日本NPOセンター
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル245
TEL: 03-3510-0855
FAX: 03-3510-0856

URL: http://www.jnpoc.ne.jp/




掲載日:2013年5月15日



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