「3.11後の企業行動」に関する寄稿文




第33回  「企業の得意分野を活かして、公立小中学校で児童生徒の育成を!」

横浜市立市ヶ尾中学校  校長
平川  理恵

   全国初の中学校女性民間人校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任し、4年目になる。3.11東日本大震災が起きたのは、私が着任した年度の末のことだった。すでに3年生は卒業して、学校には1・2年生しかいなかった。しかし、翌週すぐに、生徒会の生徒たちを中心に「何かしたい」と校長に直訴してきた。たまたま私に気仙沼のつてがあったこともあり、中学校の学区に在る2つの小学校にも声をかけたところ、すぐさま300箱の支援物資が集まった。生徒会とPTA中心に物品ごと、サイズ、用途別に仕分けを行う。仕分けの様子はNHKでも報道された。地域の方々が、「援助の足しにしてくれ」といろんなものを追加で持ってきてくださった。そして、その後、気仙沼小中学校との文通が始まった。

   その後、気仙沼教育委員会から「お礼まいり」と指導主事が講演に来てくれたり、気仙沼小中学校卒業生でもあるパラリンピック選手・佐藤真海さんが講演に来て下さったり・・・いのちの授業として、宮城県雄勝から新巻鮭の解体ショー&調理実習として家庭科の授業できてくださったり・・・生徒たちは、教科書だけの机上の学びだけでなく、体験的にまた思考型の授業にしていけば、ストンと“腑に落ちる”学びができるんだということが私自身分かった。

   学習指導要領を教科書そのままで教えていては、面白味にかけてしまう。例えば、理科の食物連鎖の教科書も、「これは山の中の学校だろう」というくらい大自然の中の食物連鎖が描かれている。しかし、市ヶ尾中学校は横浜市にある都市型の学校。そこで、ハウスメーカーさんの“ドクターフォレスト”という思考体験型の出前授業をお願いして、実際の校庭を社員の方々とフィールドトリップ。その中で2050年には全動植物のうち4分の1が絶滅すると言われているのだが、私たちは何ができるのか?を考えさせる。環境教育にもなる授業となった。

   また、遺伝のメンデルの法則の単元を単純に暗記科目として教えるのは簡単だが、それでは生徒たちの興味関心を引くことはできない。そこで、製薬会社のゲノム開発者に出前授業としてきていただく「DNA・未来のカルテが分かることはいいことなのか?現代科学は人を幸せにするのか?」という生命倫理についても言及する授業となった。

   これらの思考体験型の学習を取り入れることにより、授業がすべて世の中に結びついているんだということが生徒側からもわかり、意欲・関心が増す。また、企業側からすると、企業の強みを活かし、まさに次世代育成に関わることができる。なにより、出前授業をする社員が、自分たちのやっていることがこんなに意味や意義のある事だと、再認識させられるのだ。

   3.11の復興を担っていくのは、まさにいまの小中高生たち。「祈る・忘れない・行動する」をモットーに、市ヶ尾中学校としても体験的にまた思考型の教育を続けていきたい。


著者略歴

   リクルートに入社後、同社から米・南カリフォルニア大学(University of Southern California)に留学し、経営学修士(MBA)取得。1999年に留学斡旋会社を起業。10年間、無借金&チョイ黒字経営を果たす。2009年、事業売却。2010年4月、公募により、女性として全国初の公立中学校民間人校長に就任。




掲載日:2013年6月5日



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